アンロー大修道院のワイン生産
アルザスワインがとりわけ堅調ぶりを呈した一五四〇年から七〇年にかけて、なぜか修道院の帳簿にはこの時期の記載が欠落しています。
ストラスブールと並ぶアルザス最大のワイン市場であったコルマールは総計約12万ヘクトリットルだったとするR.オベルレほかの指摘に従えば、アンロー大修道院のワイン生産がきわめて大規模であったことが理解されます。
この事実は、少なくともアルザス地方のワイン作りにおける修道院の位置を端的に示す一例と言えるでしょう。
ちなみに、ギリシア正教会をローマ教会から最終的に切り離したアルザス出身の法王レオ九世の生母ヘイユウィジが、十一世紀初頭、夫ユゴー四世の広大な伯爵領に建立したエランベール修道院の場合、一五七八年度のワイン生産量は八・五大樽余り。
むろん一部は、修道院内の消費に向けられたはずだが、あえてそれを無視して言えば、一樽当たりの価格が二五リーヴルだったところからして、その生産総額は二一七・五リーヴルということになります。
これらの数値はアンロー大修道院の一五七七年における実績と同一あるいは近似しています。
現在ではいわゆるハウスワインとかデイリーワインが多く通販でワインが売られていますが、ただ安いだけではなく、旨くて安いワインを購入したいものです。