涙は止まらず…7
結局、その後のカルテはわからずじまいです。
患者や家族に病気のことを話さず、患者が手遅れになるのを放っておく医者。
決められている健康診断もさせず、具合が悪いと知りながら残業までさせる会社(でも、夫の亡きあと、給料の明細書をよく見たら、残業をしたという記載は、一日もありませんでした)。
これは、殺人行為と同じではないでしょうか。
お医者や会社だけに、こんな身勝手が許されてよいのでしょうか。
いま、私は、洋裁で生計をたてています。
上の娘は嫁ぎ、息子は大阪の大学に入りました。
医師や会社に対して、訴訟を起こしたほうがよいと言われるのですが、訴訟にかかる三十万円という費用は、いまの家計からは、とても出せません。
末の娘は、「お母さん、訴訟をやったって、お父さんは帰ってこないんだから、もう、いいよ」と言います。
高校受験を目前にしたこの娘には、ずいぶん不自由な思いをさせています。
ときどき、娘は、父親の顔写真を机にたて、ポロポロ涙を流しています。
夫を失った家族が、真実を知りたいと思い、保障を得ようとすると、たくさんのお金や時間がかかる。
悲しみに沈むまもなく、毎日の生活に追われて生きなくてはならない。
こんな世の中のしくみに疑問を感じずにはおれません。
たしかに、訴訟したところで、亡くなった人が帰ってくるということはないですからね。